産後の肥立ち

出産後の身体がこんなにも自分の思い通りにいかないものとは・・・思ってもみなかった。。その感じを、まだ感覚が残っているうちに書き残しておきたい・・そんな思いで書いている。

出産して3日目だっただろうか、病院の1Fにある売店に行ったり飲み物をかったりしてちょっとした気晴らしがしたいと思い、ナースステーションに赤ちゃんを預け、入院中の5F病棟から重い身体を引きずるように降りて行ったのだが。。。その重さといったら、どう書いたら伝わりやすいだろうか・・主には下半身の重さなのだけれど、内臓全体が下垂しているかのような、立っていると今にも下から内臓が飛び出てしまうんではないだろうか・・と思うような、そんな体感したことのない重み+全身の怠さを感じていた。お腹はまだ赤ちゃんが居るんじゃなかろうかというくらい膨らんだまま。。いつもなら、コットと呼ばれる赤ちゃんが寝ている移動式ベッドを支えにガラガラと赤ちゃんと共に移動するので、自分のダル重さを多少そのコットに預けて歩いていた為にそこまでの倦怠感をまともに受けずに過ごしていたのだと思う。気晴らしをしたいと1Fに降りて行ったその時は、支えとなるものが何もない状態で素で歩いていたものだから・・尚更いまの自分の身体のダメージ度数みたいなものを感じ取ることができたと同時に、こんなにも思い通りにいかない自身の身体にショックを受けていた。こんな風になってしまうんだと・・・。

売店につくと、それでも気分だけは、あぁこれこれ!こんな時間がちょっとだけ欲しかったんだ・・と少しの解放感を味わっていた。そんな時間もつかの間、立っている時間が長くなるにつれみるみる全身の倦怠感が覆いかぶさってくるかの様に強くなり、売店の後は隣にあるTully’sで久々のdecaffラテをtakeoutしちゃおうと楽しみにしていたそんな企みさえ消えてしまった。妊婦通院時代から病院で唯一楽しみにしていた場所、白熱灯色のあったかい感じに包まれたTully’s。今いる売店のすぐ隣にあるのに、とっても遠く感じた。とてもじゃないけどそこには辿り着けない・・そんな気持ちになってしまうくらい怠かったことを覚えている。

5階の病室までなんとか戻りなだれ込むようにベッドへ横たわると、みるみる悲しくなって涙が止まらなかった。。身体がつらくて悲しいというよりは、思い通りに動かないことにショックを受けて、お産のダメージというものが産前に想像していたものを遥かに超えていたそのことに・・・。涙がいったんこぼれ始めると、張り詰めていた気持ちが溢れ出て止まらなかった。自分のダル重さなんか二の次にして、産まれたばかりの赤ちゃんをケアしなくては・・。出産後から待ったなしで続いていた状況が自分のキャパを超えてしまったのだろう。もちろん産後のホルモン変化が、落ち着かない気持ちの背景にあったとも思う。

病室に戻る前に本来なら赤ちゃんを迎えにナースステーションに寄らなくてはならなかったのだけれど、とにかく身体が辛くてそれができずにしばらくたってから迎えに行った。待ったなしの生まれたばかりの現在進行形の赤ちゃんを目の前に、自分自身がどこか置いてきぼりになっている・・そんな感じがしていた。私にとって恐ろしいほど壮絶だった出産時の出来事が鮮明に頭身体に残っており、そのことに立ち止まって気持ちを整理する時間などないまま目の前のことや今の状況で手一杯・・そんな風に、自分自身の置いてきぼり感が片隅にあった時期だった。産まれたばかりの息子はエネルギーに満ちていて、きっと私よりも壮絶な出生の時間を乗り越えてここにやって来たはずなのに・・その頃の私とは生きている次元が違うんじゃないだろうかと思ってしまう程、生に満ち溢れていた。そのことが、私をどれだけ引き上げてくれたことか。。

退院して実家でしばらく過ごしたが、倦怠感はなかなか抜けず最初の2~3週間は病院に行った以外はほぼ家の中で過ごし、部屋移動くらいの歩行程度しかできなかったし、階段を上って2階に行くとか外に出て歩くとか、とてもそんな気分にはなれない状況だった。妊娠中であるかのようなポッコリお腹ですり足で歩く・・骨盤ベルトをしていないと内臓物が下から出てしまいそうな感じはしばらく続いた。赤ちゃんの体重増加が停滞していたことで、産後1週間目からちょくちょく病院に行かなければならなかった。自身も悪露が停滞していたことで病院にかかったり。自身の体調にも不安があった中で新生児を連れて出かけることって心身ともにとにかく緊張しっぱなし。。神経のすり減る思いってこういうことかなぁと思ったことを覚えている。外出時も常に側でサポートしてくれていた母には感謝しきれない想いだった。大いなるサポートを約2か月間実家で受け、自分の家に戻った。この頃から少しづつ家事も並行してできる様になってきた。

産後6か月の今、産後の肥立ちというものを思い返してみると、身体精神の大変革の時期だったのだなぁと改めてそう思う。いやまだ現在も「産後」の時期といえるのだけど。。実家の家族や通って来てくれた夫、同じ月齢の子をもつママ友に支えられて心身共に乗り越えられた・・そしてなにより退院後の厳しい時期を、5月の気持ちいい季節が何度となく救ってくれた!

もしも遠い未来、この文章を息子が目にすることがあるのならば・・奥さんになる女性の産後を(もちろん産前から)おおらかな気持ちでサポートしてほしいと思う。ホントに産後は思うように動けないんだから。。その時には、母が私にしてくれた様に、私も精いっぱいその方の支えになりたいと思います!

 

 

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